2015年 12月 29日
【 五百羅漢図を観て(全文) the report by betto 】 |
想像していた以上に、スケールの大きい意味の深い見ごたえのある展示でした。
完成までの膨大な資料やスケッチ、スタッフの多さとそのまとめ方は
芸術界の中ではある意味企業レベルではないかと感じました。
このプロジェクトに参加できた美大生は大きな飛躍を遂げたのではないかと想像します。
展示の中にはこのようなコメントのパネルがありました。
「東日本大震災に際してわれわれ国民の無力感、
そんな無力感の中でも人は生きていかなければならない、
その絶望からの復活には、たとえ作り話でも、希望を唱えるお話が必要だ」
このコメントを読んだ時に初めて作品群の意義や思想の根底に
触れたような気がしました。
震災の時期に作成された作品で作家は日本で起こった大災害に対し
出来る事をしたいという意思の表れと希望を祈って作成されたのか、
と深く感銘を受けました。
「五百羅漢は500種の人の苦しみを癒してくれるという逸話もある。
震災という死生観のぎりぎりのところが問われているような状況が出現し、
五百羅漢というモチーフは俄然リアリティを帯びてきた」
展示会を観た当方にも俄然リアリティを帯びました。
このような思想を念頭にさらに展示を観ていくとそれぞれの作品が
また違った印象に思えます。
この感覚を建築に捉えなおすと、やはり思想の大切さを思い起こします。
良い建築物とはそこに何かの「思想」があるものです。
忘れてはいけない事を思い出したことにこの展示会鑑賞に
参加できたことを深く感謝いたします。
今回は初めて娘も参加させて頂きました。
途中であきてしまうか思っていましたが、結構熱心に眺めて
無心にスケッチをしていました。
妖怪好きの娘にとっては「ごひゃくらかん」という妖怪の絵と思っているようです。
初めて参加させて頂き娘なりに緊張していたようですが楽しかったようです。
ありがとうございました。
別当淑子・美優
*sketch by betto、miu
*原文に改行を加えています。
by takt-t
| 2015-12-29 12:12
| ・sketchbook